理事長所信

GRIT

〜やり抜く力が未来を変える〜





◆基本方針
・組織力の向上
・未来のための共育
・心躍るまちづくり事業の展開

はじめに
先日、こんなニュースを目にしました。‟岡山県井笠地域、出産できる医療機関ゼロに”。約800万人いる団塊の世代が後期高齢者となり、国民の4人に1人が75歳以上という超高齢化社会を迎えるいわゆる2025年問題を目前に、私たちの身近においても雇用、医療、福祉などといった社会構造や体制の大きな分岐点を迎えつつあります。日本の人口は2010年を境に減少を続け、人口減少問題はわが国の将来に暗い影を落としています。国内市場の縮小、生産年齢人口の減少による労働力不足、社会保障費の増大、税収の減少などにより、これまで行政によって行われてきた様々な施策が、医療や教育といった暮らしに欠かすことのできないサービスも含めて維持できなくなります。産科医・小児科医がいなくなれば地域の育児や教育環境が悪化し学校が統廃合に追い込まれ、一層少子化が進むことに繋がります。また空き家が増加し、地価の下落が加速することも考えられます。さらには2040年には全国896市町村が消滅可能性都市に該当し、残念ながら笠岡市もそのうちの一つとなっています。今後、少子化対策と極点社会回避のための取り組みを官民一丸となって行わなければ、いずれ私たちが安心して住み続けられるこのまちがなくなってしまうかもしれません。そう、私たちは今こそやり抜くべきなのです。

身近にあった使命感
私は36歳まで地方銀行に勤務しておりました。銀行を志望したのは、第一次産業から第三次産業まで全ての人や企業をつなぎ、地域の金融経済を支える重要な役割を果たす金融業務を通じて、自分が生まれ育った地域に貢献がしたいという使命感からでした。ある時、取引先の代表者から「ありがとう。あなたのおかげで立派な事務所が出来上がった。これで安心して従業員が働くことができる。」と言われたことがありました。私は大工でもなければ設計士でもありません。一人のバンカーとしてその取引先に有益な提案を行っただけなのです。その会社は従業員が働きやすい環境を創ることで業績が伸び、その利潤は結果としてひとやまちに循環されていきました。実家の社業を継ぐにあたり、惜しくも仕事を去ることになり、使命感のやり場に困っていたところに出会ったのが青年会議所でした。青年会議所
での活動においても、私の使命感は変わっておりません。私たちはこの地域社会に生かされており、地域社会の発展が結果として家族、会社、地域へ利潤をもたらすのです。青年会議所という組織が明るい豊かな社会の実現のため、私たち会員一人ひとりがそれぞれの使命感を持ち、共に活動していける組織にしてまいりましょう。

組織力の向上
強い組織に共通しているのは、その組織が本来持つ力とその組織が創る可能性の両輪を備え持つことだと考えます。笠岡青年会議所の組織力をこれまで以上に向上させるためには、会員一人ひとりが青年会議所の活動や運動に邁進できるように正確かつ円滑な組織運営を行うことは当然のこと、時代に即した組織を目指すためにAIやIoT技術を活用して組織を変革していくDXの実行が欠かせません。DXの推進は単にデジタル化を行うだけではありません。諸先輩方が築き上げた歴史と伝統の中で守るべきもの、変革させるものを一つひとつ見極めながら、効率的で生産性の高い組織へと向上させましょう。広報活動においては、JCしかなかった時代からJCもある時代といわれる今だからこそ、ブランディングの側面が組織力を向上させるうえで強く求められます。JCにしかない魅力を地域の皆様に広く知っていただくためには、より効果的なブランディングを意識して実践していきましょう。

未来のための共育
近年、在籍期間の短期化により、本来であれば様々な役職を経験し、また出向先での経験を積み重ねる中で青年会議所の組織運営や本質を理解していきますが、それを分からないまま理事になられたり、卒業されたりする会員も増えています。活動や運動に対する面白さや喜びを在籍期間の短い会員に感じてもらうためには、理事メンバー自らがロールモデルとなり、リーダーシップの開発と成長の機会を提供していかなくてはなりません。機会を提供する側、される側が相互に学び成長することこそが共育なのです。拡大活動においても、これは同様です。拡大のための拡大活動をするのではなく、青年会議所の魅力や面白さを、会員と多様な立場の方と共に育むことのできる活動を行いましょう。そして、そこに共感できる人こそが候補者なのです。渉外活動においては、地域と協働した参画が重要です。例えば地域の清掃活動やボランティア活動、地域のお祭りなど、参加から参画へのマインドを高め、青年会議所だからできる渉外活動の魅力を地域と連携して育むことも未来へLOMを紡いでいく重要な拡大活動の一つであるといえるでしょう。未来のための共育を重ねることで、学びが経験となり、経験は実力となります。やがて実力が面白さや喜びとなる会員の絶対数が増えていけば、LOMひいてはまちの輝かしい未来に繋がると考えています。

心躍るまちづくり事業の展開
JCでは「手法が目的化している」と耳にすることがあります。つまり自己都合で場を取り繕い、社会を変えたのかよくわからないことを指します。私自身も委員長時代には、まちのために自分に何ができるのか、どのようなまちづくりが地域や社会の発展につながるのか悩み苦しみ、時間に追われ、手法だけが残り形骸化してしまうこともありました。そんな時ある理事メンバーに「委員長自身は楽しんでいるのか」と聞かれハッとしました。まちづくりの原点として持ち続けるべき大切なことは、楽しさや感動、胸が高鳴るような、心が躍ることなのです。人は魅力あるものに惹かれ、情熱によって動かされます。自分の心が躍らなければ本来の目的を見失い、手法のみが目的化され周囲を巻き込むことなどできないのです。今年度は自分自身の想いと向き合い、会員や地域を巻き込み、世代を超えて人々がわくわくするような、心が躍るまちづくり事業を展開してまいります。

むすびに
消滅可能性の反意語は持続可能性です。このまちを愛してやまない私たちJayceeにとって、地域に真摯に向き合うことは、このまちを持続可能なまちへと発展させ、輝かしい未来を創ることに繋がると考えています。そのためにもまずは創立70周年に向け中期計画として策定した5年間ビジョンの実践に向け、私たちは全力で突き抜けていかなければなりません。活動や運動の途中、幾つかの困難もあるでしょう。しかし成功できる人は、何も生まれ持った才能や育った環境によってのみ決まっているのではないのです。成功へのカギはやり抜く力が重要であり、これは大人になってからもトレーニングによって後天的に伸ばすことが可能なのです。【Guts(度胸)】困難なことに立ち向かい、【Resilience(復活力)】失敗しても諦めずに続け、【Initiative(自発性)】自分で目標を見据えながら、【Tenacity(執念)】最後までやり遂げる。高い目標の実現に向け情熱を持ち、粘り強く取り組み続けるための「やり抜く力=GRIT」を育むことで、周囲の人々にポジティブな影響を与え、成果の共有を通じて新たなひとの繋がりを創り、多様な人々と協調して課題解決に取り組むことを可能にします。
私はこのまちが私たちのGRITにより心躍る持続可能なまちになると信じています。大切な家族、会社、そしてLOMの仲間と共に、やり抜いた先にある新境地を見に行きましょう。さぁ、今こそやり抜こう。私たちは、未来を変えることができる。組織の可能性を信じ、だれもが輝き、心躍る未来に向かってGRIT。